学校教育に求められているのは○○思考?
ビジョン思考は時期尚早!?
直感と論理をつなぐ思考法、読み終えました。
NewsPicksで特集されていたのを読んで興味を持ったので購入
本書では
「妄想を駆動力として創造する」
ビジョン思考を提唱しています。
そして、巻末では教育との関連も示されており、教員にも是非読んでほしい一冊です。
これまでのビジネス書でも様々な思考法が取り上げられてきました。
マッキンゼーの戦略思考など
それらとの違いは何か。
そして、学校教育に求められていくのはどのような考え方なのか、想像してみました。
- 結論
- ビジョン思考よりもデザイン思考が現実的、、、
4つの思考の違い
本書では4つの思考法が取り上げられています。
- カイゼン思考
- 戦略思考
- デザイン思考
- ビジョン思考
これらを大別すると図のようになります
まず、横軸は動機を表しています。
- Issue-Driven〜課題先行
- Vision-Driven〜理想先行
例えば
真っ直ぐなストローだと飲みにくい(課題)
→曲げたら飲みやすい!
これは課題解決
カップルで一緒にジュースを飲みたい(理想)
→ハート形で飲み口を二つ付けよう
これは理想先行です。
そして縦軸はクリエイティビティ
- 今あるものを最大化させる→1〜∞(知性優位)
- 今ないものを生み出す→0〜1(感性優位)
既存の商品で会社の利益を最大化しようとするのは知性優位
全く新しい商品を作ろうとするのは感性優位です。
これらを学校現場に当てはめてみましょう。
カイゼン思考
- テストで100点を取るために(課題)
- PDCAを回し、
- 点数の最大化を目指す
これはイメージがしやすいですね。
けテぶれとも繋がりそうです。
戦略思考
- 『学び合い』の誰1人も見捨てない、というビジョンのために
- 今教えるべき人を洗い出し、
- 1番効果がありそうな人からを重点的に教える
我ながら無理矢理感がある、、、が!
『学び合い』は「誰1人見捨てない」という理想先行です。
学習進度を黒板で視覚化する、という技も
モレ、ダブりなく洗い出す手法(MECE)と繋がります。
と、ここまで学習目線で書きましたが、戦略思考は学級経営や学校運営の立場で捉えたほうが有効かもしれません、、ここでは割愛。
デザイン思考
- 地域の課題を解決するために
- トライ&エラーを繰り返し
- 新しい解決方法を探す
これは課題解決型学習と言えるでしょう。
小学校だと総合的な学習で活用できそうな考え方です。
戦略的思考が
論理→試行
なのに対し
デザイン思考は
試行→論理
と逆の手順を踏む点で違いがあります。
まず試作品を作ってみて、そこからよりよくしていく。
トライ&エラーがベースにあるのがデザイン思考です。
ビジョン思考
- 自らの妄想を実現するために
- 周囲からのインプットを再構築し
- 実現していく
デザイン思考と近い部分もあるビジョン思考ですが一番の違いは
課題先行か理想先行か
という違いです。
学校現場で取り組むに当たっての問題がここにあります。
デザイン思考は「共通認識のある課題」を「集合知で」解いていくことが求められます。
言い換えれば「一つの課題」を「みんなで」解くことができます。
一方、ビジョン思考の根本にあるのは理想、
本書の言い方を借りれば、個人の「妄想」が原動力です。
一人ひとり異なるビジョンを持った子どもたちを見守るには、担任1人では難しいでしょう。
取り組みやすさの点ではデザイン思考の方が現実的だと言えます。
結局、「余白」が大事
学校教育ではビジョン思考よりもデザイン思考が取り組みやすい、とは言いましたが、課題がないわけではありません。
トライ&エラーを繰り返すビジョン思考は、ただ教え込むのと比べて時間がかかります。
ただでさえパンパンの時間割の今、これ以上時間を作るにはカリキュラムマネジメントの力が相当必要でしょう。
「効率的に教えよう」と取り組むのは良いですが、
たくさんの教科、指導内容があるせいで「効率的にならざるを得ない」のは話が違います。
現況、1番必要なのは思考法以前に「時間的余白」かもしれません。
また、これから求められていくのは自ら課題を定義し、解決できる存在です。
その点で、本書に示されている妄想力を鍛えるトレーニングやジャーナルはぜひ取り組ませたい(というか自分もやりたい)です。
追記
ビジョン思考に1番近い事やっているのがこれだと感じた。